ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.86 "坂井千尋さん(東京)のキュートな生けるモノ" "ラファエルナバスさん(愛知)のキュートな生けるモノ" "奥野美和さん(沖縄)のキュートな生けるモノ" "studio COOCA(神奈川)のキュートな生けるモノ" "大隅剛さん(東京)のキュートな生けるモノ"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.86 "坂井千尋さん(東京)のキュートな生けるモノ" "ラファエルナバスさん(愛知)のキュートな生けるモノ" "奥野美和さん(沖縄)のキュートな生けるモノ" "studio COOCA(神奈川)のキュートな生けるモノ" "大隅剛さん(東京)のキュートな生けるモノ"

<2016年1月号>





坂井千尋さん(東京)のキュートな生けるモノ

東京日野在住の千尋さんの描くモノクロの動物はクールな表情をしていますが、それがかえってフッと笑みがこぼれてしまうのです。
以前の企画展で意外な発見がありました。
千尋さんの展覧会は全国各地で開催されていますが、一般的に人気のある絵柄が鳥、猫、アルパカ、ウサギ、馬、コウモリなどに対して、
gallery ten では、なぜか、ブタ、ブルドッグ、羊などのブサかわいい(?)ものが大人気。
千尋さんのお宅にも、ラファエルナバスさんのお宅にも、私の自宅にも、ブサかわいいフレンチブルドッグがいます。
もうそれだけで、好みを共有できている気がしてうれしいのです。
千尋さんの器はカフェでも自宅でもヘビロテで使っていますが、頑丈でサイズ感がよくとても重宝します。
食卓が楽しくなります! あなたはどの動物を選びますか?



ラファエルナバスさん(愛知)のキュートな生けるモノ

ラファエルナバスさんは多才です。
陶、鉄、絵、版画、布、木、ガラス、・・・・・、どんな素材でも突き抜けたラファワールドの作品が生まれます。
それら全てからハッピーな気を感じます。
毎年、ユニークな干支のオブジェを発表されます。
今回もラファさんのどんなサルが出てくるのか、お楽しみに!



奥野美和さん(沖縄)のキュートな生けるモノ

羊毛を針でチクチクと突っついて作るフェルトの動物。
美和さんのそれは、決してファンシーなかわいらしさではなく、図鑑から飛び出したようなリアルな風貌。
リアルなのに思わず「かわいい!」とつぶやいてしまうのは、赤ちゃんの時のような少し頭でっかちな微妙なバランスなのではと分析します。
ナチュラルな色合いながら、必ず人の眼をくぎ付けにするキュートな存在感があります。
バッジになっているので、セーターにバッグにストールに帽子にインテリアに、いろいろつけてお楽しみください。



studio COOCA(神奈川)のキュートな生けるモノ

1992年に前身の“工房絵”がスタートし、2009年に設立した“studio COOCA”。
現在90人以上のハンディキャップのある人たちが在籍し、それぞれの好きなことをして時間を過ごしています。
絵を描く、布にステッチする、粘土で動物を作る、文字を書く、昼寝をする、友達とじゃれ合う、お茶を淹れる、ぼーっとする、何かをじーっと見る、・・・・・。
他の誰にもマネができないような強烈な個性がこのアトリエのそこここにあります。
このような施設は全国にたくさんありますが、知的障害のある人と精神障害のある人はたいていの場合どちらか一方での展開であるのに対し、
COOCAではその二つが混在し、お互いに交流をしています。
例えば、ズーンと落ち込んでいる人が天真爛漫な人からパワーをもらって自分も気分が上がるというようなことが多くあり、
日常を楽しく過ごせるということがあるそうです。双方によい影響があるというのです。
ここにいるみんなが、自由な雰囲気の中で創作したものは、比類なきアートとなり、作品として発表したり商品化して、
より多くの人に認知されるとともに、そのことが経済活動となる。
“つくる”ということは、絵を描いたり造形したりすることだけではなく、一個人の存在そのものが醸し出すムードもそうだ。
今後も多様な魅力を放つ何かが無限大に広がっていくのが楽しみです。
今展では、ten店主のオモダの好みだけでセレクトした作品をご紹介いたします。
作品が発する目に見えない力を感じ取っていただけたらうれしいです。ご高覧ください。



大隅剛さん(東京)のキュートな生けるモノ

大隅さんとの出会いは意外と近いところにあったご縁がきっかけでした。
月イチカルチャーの『大人の書の会』でお世話になっている西尾修一さんと、博報堂で会社員時代のご同僚でした。
お二人とも知性と品格のある紳士ですが、フランクで飾らないお人柄。すぐに心を開かせてしまう懐の深さをお持ちです。
大隅さんは中学生の頃から骨董に興味を持ち始め、大人になって各地の蚤の市を頻繁に巡っては好きなものを蒐集していかれました。
それらは膨大な数になり、会社を早期退職し骨董商として活動されています。
大隅さんのモノを選ぶ眼は感度が高いばかりではなく、なにか人間味というか愛情や温かさが感じられます。
ジャンル、アイテム、時代、国など多岐にわたりますが、やはり大隅さんの志向、嗜好、思考に一本スジが通っている気がするのです。
今回のテーマ“生きとし生けるもの”に該当する多くの品の中のイキイキした唯一無二のモノたちに、期待をふくらませて観にいらしてくださいね。





コラム vol.86 "坂井千尋さん ラファエルナバスさん 奥野美和さん studio COOCA 大隅剛さん のキュートな生けるモノ"