ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.5 "急須大好き""菊地勝さんのアトリエ訪問"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.5 "急須大好き""菊地勝さんのアトリエ訪問"

急須大好き 菊地勝さんのアトリエ訪問(ギャラリーテン〜コラム vol.5) <2006年6月号>
          




























急須大好き♪

私はギャラリー巡りが好きです。
いろんな作家さんの作品を手にとって愛でる。瞬時に癒され幸せ気分に。

ことに、急須や片口には異常に反応してしまいます。

どうしてこんなに気になるのか・・・。
注ぐモノのカタチがすごく美しく感じるのです。
使い勝手が悪かろうと全く気にしない。

とにかくカタチと質感がよければ、オブジェとして飾っているだけで満足なのです。
実際、ウチのキッチンには、数十個の急須や片口がディスプレイ(散乱?)されています。
収納場所ももちろんないのだけれど、出しっぱなしにして常に眼で楽しもうじゃないか・・・と思い、置き始めました。
するとどんどん増えていく。
最初の頃は、ポツポツときれいに並んでいた。
あっという間に、イモ洗い状態の海水浴場のよう。
それでも、コレがうれしい!

私がやきもの好きになったのは、お茶や料理から入ったのではなく、アート鑑賞感覚から入りました。
だから用途性が二の次でよいのかもしれません。
便利さも大切ですが、そのもの独自の存在感を優先!

未だ凝った料理づくりは苦手ですが、器でカバー。
見た目だっておいしさだって倍増です。
公園に生えていたペンペン草を活けたって絵になる。

器の威力ってスゴいと思いませんか。



                     















































菊地勝さんのアトリエ訪問

今回の個展の陶芸家・菊地勝さんのアトリエは山梨県小淵沢。

3月におじゃましてきました。
あたりは南アルプスや八ヶ岳のなだらかな山並みがそびえています。

富士山もよいけれど、こういう山並みこそ日本の風景だなぁと、感慨深く見えたもの全てを脳裏に刻み込みました。
菊地さんのアトリエは小淵沢駅から車で10分足らず。
お住まいとアトリエが隣接した建物は、南アルプスたちを何の障害物もなく見渡せる絶景を臨みます。
とても気持ちがよいのです。
心なしかお庭にいたワンコもいい顔していました。

菊地さんは東京芸大の工芸科のご出身ですが、奥様もその同期とのこと。
菊地さんの同期や先輩・後輩には、私の大好きな作家さんがたくさんいらっしゃいます。
たとえば、三上亮さん、深谷泰さん、今井一美さん(ウチで再来年2月展開予定)、長谷川奈津さん(昨年4月展開)、
栗原慶さん(次回8月に展開!)、椎名勇さん、・・・。
違う科では、千住博さん、村上隆さん、小沼智靖さん(昨年4月展開)、小倉充子さん(常設展開開始)、・・・。
東京芸大って東大に入るより難しいんですってね。単純な比較対象にはなりませんが。
上野の博物館や不忍池のあたりに行くと、なんとなくアカデミックな香りがしてくるようです。
学歴なんか関係ないけれど、やっぱり尊敬 ・:*:・( ̄∀ ̄ )・:*:・


菊地さんご夫婦と、和やかな雰囲気の中、世間話なんかもしつつ、アトリエを見せていただきました。
今まで菊地さんの作品はたくさん見てきましたが、制作途中のものを初めて目の当たりにしてワクワク。
こういう過程を経てあんなモノができるんだと、興味深くキョロキョロ。

すると、棚には「ん?」と思うものが。
菊地さんの息子さんが作られたという「仮面ライダー」。
乾燥段階で、まだ焼成されていませんでしたが、なんともよいカタチにできているのです。
さすが、サラブレッド!
また、奥様のコーナーの壁には、お嬢さんが描かれた「母の作陶風景の絵」。
これまたとてもよい絵なのです。
両親が創作活動をしている子供たちって、知らず知らずのうちに芸術的影響を受けているのでしょうね。
きっとフツーの会社員の子供には味わえない空気をいつも吸っているはず。
私は、一人密かにこの子たちの将来を楽しみにすることにしました。

何もできない私でも、モノづくりをしている現場に身を置くと、何かつくりたくなる衝動にかられます。
でも私がケッタイなものをつくるより、好きな作家さんの作品をコレクションする方が、私には賢明だと悟ってもいるのです。



コラム vol.5 "急須大好き" "菊地勝さんのアトリエ訪問"