ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.126 "北尾正治さん・マキさんのモチーフ" "ワタナベサラさんのモチーフ"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.126 "北尾正治さん・マキさんのモチーフ" "ワタナベサラさんのモチーフ"

<2019年7月号>

北尾正治さん・マキさんのモチーフ

北尾正治さん・マキさんご夫妻は、生まれも育ちも金沢。
正治さんのお父様はグラフィックデザインの仕事をされていたそうです。
正治さん、高校を卒業して特に何かやりたいと思うこともなく、バイクでツーリングに出たり、自由きままにぶらぶら過ごしていたところ、
なんとなく陶芸教室に通い始めてから少しおもしろくなる。
九谷研修所に入り3年学んだ後、絵付けの工房に就職し約10年勤め、独立。
マキさんは以前は九谷焼陶芸館の事務スタッフで、やきものは素人でしたが、結婚と同時に正治さんの見よう見まねで作陶し始めました。

二人の作品は、伝統的な九谷焼のカラフルな色絵の具や呉須のブルーで、小さいユニークなモチーフがたくさん描かれています。
小さい小さい人、小さい小さい羊、小さい小さい木、・・・・・。
いわゆる九谷によく見られるモチーフの連続の手法もありますが、どこかにちょっとした楽しさやサプライズが潜んでいる。
それらから温かい幸せのようなものが醸し出されているのです。
散歩しながらその辺にある植物のカタチに感動したり、変な生き物に心惹かれたり、
金沢の丘の上にある自宅で日々体験する自然界の摩訶不思議で飽きない発見にワクワクし、
そのことが作品のモチーフをより魅力的にしているのだと思います。
一度見たら、思わず「かわいい!」と口からついて出てしまうキュートな器が勢ぞろいします!














ワタナベサラさんのモチーフ

浜松出身のワタナベサラさんは、現在、富山でガラスの制作をされています。
おじいさまは絵を描き、お父さまは庭師、サラさんも3歳の頃から造形教室に通う。
小学生の頃、『TVチャンピオン』という番組でガラス職人の特集に衝撃を受け、その時、ガラス作家になりたいと思ったのだそう。
倉敷芸術科学大学に入学したものの、在学中は、軽音部に入り、ライブばかりやって過ごす。
その後、富山ガラス造形研究所で学び、助手になり、富山ガラス工房に就職し今に至ります。
工房受注の品を作ることが仕事で、休みの日や勤務時間外に自分の制作を。

ガラスを吹く工程は、スポーツやライブのようで好きだと言います。
炉から竿に巻き付けたドロドロのガラスが、時間差、温度差、体のコンディションによってデキが変わるスリルや臨場感。
また、サラさんの作品は、サンドブラストで描かれたユニークな絵が特徴。
ガラスを吹くことと同じくらい、図案を考えるのが好き。
図案のネタ帳のようなものを見せてもらうと、想像力豊かで緻密な設定の上、よく練られているストーリーがある。
そこに登場する生き生きとしたキャラクターがたくさん描かれており、それらが作品のモチーフとなり、今にも動き出しそう。
幼児の頃の造形教室の先生が、大人になったサラさんの作品を見て「あの頃と変わらないね」とおっしゃったとか。
サラさんの創作は、ガラスのみならず、刺繍やフェルト人形や映像にも進化しつつあります。
それらのどれもが、サラワールド。 これからどんな展開が待っているのか楽しみです。














コラム vol.126 "北尾正治さん・マキさんのモチーフ" "ワタナベサラさんのモチーフ"