ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.121 "荒井恵子さんのしっぽり" "三笘修さんのしっぽり"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.121 "荒井恵子さんのしっぽり" "三笘修さんのしっぽり"

<2019年2月号>

荒井恵子さんのしっぽり

いつもニコニコ〜とまぶしい笑顔とケラケラ〜と高らかな明るい声の荒井恵子さん。
常にブルドーザーのような活力とスポンジのような吸収力を秘め、元気いっぱい。
年中あちらこちらに走り回っている体力と気力は計り知れず、パワーは衰えるどころか年々増してきています。

昨年5月、越前和紙の里・福井県武生で、”紙の神様”を祀る岡太神社大瀧神社の1300年祭がありました。
その4年前にオファーを受けた襖絵32面のプロジェクトの大仕事を成し遂げ、
また昨年末の篠田桃紅美術空間での個展も盛況に終わりました。
今年来年も国内外での展覧会の予定が目白押しですが、とにかく泉が湧くようにどんどん描き続けています。

昨年は何度も何度も福井の岩野平三郎製紙所の職人さんの中に入って、和紙を漉くという作業を自ら体験することで、
今まで見えていなかった紙のポテンシャルに気づき感動するとともに、次の作品への展開にワクワクするという情熱が高まる。
また、3年前に荒井さんの元に来た100種類の墨は、モノトーンの墨の世界に多様な”色”をもたらし、新しい作品を生み出してきました。
百の墨を摺るのには2か月を要します。
ひとつひとつ摺るという行為は脈拍を打つかのように、延々と続いていき、そこから教わることが多いのだそうです。

その時に感じたものを、呼吸するように軽やかに描く。
いくらでも描き続けていくことができ、その時間軸の中でリズムが変化していくのが楽しいと言います。
荒井さんの身体と心から表現されるものには躍動感とともにキーンと研ぎ澄まされた落ち着きも存在します。
今回、膨大な量の作品から、テンでお見せしたいものを厳選して展開いたします。 ご高覧くださいませ。















三笘修さんのしっぽり

大分県日田市で生まれ育ち、大学で東京、その後、愛知、滋賀でやきものの仕事をし、12年前に故郷に帰りました。
それまでは、躍起になって作陶をした時代がありましたが、
今では、生活の中での営みとして、家族と語らい、自然を楽しみ、仕事する。
そんな自分に楽で自然体な暮らしの延長としての作陶。
5年前に三笘さんのアトリエを訪れましたが、低い山並みや川に囲まれた、どこか懐かしい日本の原風景が広がっていました。
体中包まれるような温かでホッとする環境。

三笘さんは、食材、料理が美しく見えることを意識して制作していると言います。
彼の作品には、”侘び寂び”の精神が息づいているように思います。
ムダをそぎ落とし、要るものしかない、というフォルム。
李朝の陶磁を彷彿とさせるような”洗練”も感じられる。
また、飾らないのに内側からにじみ出る艶やかさもある。
何とも言えないカタチや質感や色は、もちろん三笘さんの意図によって作られたものですが、
五感にスッとムリなく入ってくる自然な優しさがあります。

三笘さんの今年のテーマ。
雑然とした自分の頭の中を整理して、自分の考えていることを的確な言葉で相手に伝えること。
整理できれば、自分の作る器についても、きちんとコトバにでき、相手にも伝わるのかなと。
でも、彼の作品を観ていれば、言葉以上の精神性が語りかけてくるような気がします。
きっと今後も、ずっと変わらず淡々と作り続けていくのでしょう。ずっとずっと・・・。










コラム vol.121 "荒井恵子、三笘修"