ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.101 "東直人さんの器" "佐藤千香子さんの染め" "小高善和さんの靴"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.101 "東直人さんの器" "佐藤千香子さんの染め" "小高善和さんの靴"

<2017年4月号>

東直人さんの器

岐阜県恵那市で作陶している東直人さん。
東さんは大学時代、名古屋の徳川美術館の近くに下宿していて、焼き物に興味を持つようになり、美濃、常滑を始め全国の窯業地を見てまわりました。
大学卒業後、焼き物とは無関係の会社に就職しましたが、焼き物の養成所の存在を知り、躊躇なく退社し陶芸を学び始めました。

創刊されて40年以上、多くの読者に支持されている料理季刊誌『四季の味』。
初代編集長の森須滋郎氏の哲学として家庭料理と器の重要性が一貫して発信され、その誌のすばらしさにずっと魅せられていた東さん、
まもなく東さんの器が森須氏の目にとまり、以降、多くの料理人が彼の器に盛り付け登場しています。

私は15年以上前から東さんの器を愛用しています。
奇をてらわない正統派で格調高い東さんの器、また織部釉の何とも言えない緑が落ち着きと安心感を与えてくれます。
料理を映えさせる包容力と、飽きがこずまた使いたくなる魅力があります。
東さんの器が食卓にのぼると、ピシっと引き締まる。それはまるで演劇の舞台上に、シブくてクールな演技派男優が登場したかのよう。
レストランや割烹などでは、プロの料理が美しい器に盛りつけられていますが、
家庭料理でもひとつ器にこだわることで、食卓に華が加わり品格や美味しさが増し、家族や招かれた人たちの幸せとなります。
今回、バリエーション豊かに勢ぞろいします。ぜひお手にとってご覧くださいませ。





佐藤千香子さんの染め

東京出身、千葉在住の佐藤千香子さん。
子どものころから手を動かして何かを作ることが得意。
女子美術大学産業デザイン科に進学し染織を学び、卒業後は研究室で助手として、どっぷり染色の世界に浸りました。
ある時訪れたフィンランド、その地への強い想いは、その後、芸術家の創作活動の場”アーティスト・イン・レジデンス”滞在にて実現。
北欧ならではの自然、こと森における空気感は千香子さんの創作の源になっています。
木々の造形をモチーフとして型染めやシルクスクリーンなどで染め上げ、空気をはらんでフワっとしたストールを身にまとう。
千香子さんの作品を見ているだけで、その情景がフッと浮かんでくるようです。
またブルガリアやキルギスでもじっくり腰を据えて草木染に取り組んだり、羊毛や麻の繊維にも関心を持ったりします。
旅行者ではなく、そこに暮らすことで、生活者として心身にジワジワと何かを感じ入る。
そして改めて、自分が制作していくためのエッセンスを吸収し、自身を見つめなおす貴重な日々。
そんな千香子さんが体得し生まれてくる様々なイメージを具現化した手染め・ハンドプリントのストールやバッグを味わってみてくださいね。





小高善和さんの靴

小高さんの企画はもう何度も展開していますが、これほど買われた方から喜ばれている幸せな作家さんはいないなぁといつも思っています。
外反母趾などをはじめ、市販の靴が合わないという方がとても多いのに驚くのですが、
彼らのほとんどが靴にむりやり自分の足を合わせているわけですが、それは仕方がないことだと違和感も覚えず合わない靴を履いています。
ところが、小高さんの作る靴から「自分にピッタリの靴ができるんだ。」「ピッタリの靴がこんなに心地よいものだ。」という感動が芽生える。
もちろん木型を作ったフルオーダーの靴がベストなのですが、サンプルデザインの中からサイズを合わせて作るセミオーダー靴、既成靴でさえ
今までに着けたことのないようなカラダの一部になりうる靴の存在に歓喜するのです。
そして、小高さんの初展の4年前から同じタイプの靴がどんどん進化していることもわかります。
身につける人の足によりよく寄り添うために、常に微に入り細に穿ち改良に努めている姿があります。
接客の様子をはたで見ていても、誠実で気持ちの入った姿勢が人からの信頼を得、オンリーワンの靴を懸命に作るという熱意が伝わってきます。
靴のタイプ、サイズ、革、仕様、・・・、豊富なバリエーションの中から、自分の好きな組み合わせで靴ができます。
今会期では全日小高さんが在廊し、みなさんのための靴づくりに全力を注いでくださいます。ぜひご相談くださいませ。






コラム vol.101 "東直人さんの器" "佐藤千香子さんの染め" "小高善和さんの靴"